研究紹介

線虫は生態系における生物指標になると考えられています。

海岸林は単純な生態系であるため線虫群集を特徴するための良いモデルとなります。そのため、三重県の海岸クロマツ林で線虫群集の調査を行いました。その結果、18分類群が確認され、細菌や真菌を摂食する分類群が豊富に存在することが明らかになりました。

(Kitagami et al., 2016 Nematol Res)

 

 

 

 

線虫の分類属性は形態分類が主流であるが、主に科・属レベルで扱われ線虫の種多様性を過小評価している。そのため、愛知、三重静岡の海岸クロマツ林4林分に由来する線虫群集をDNA解析を用いて調べました。その結果、海岸林の線虫群集構造は単純であることが示されました。

(Kitagami et al., 2017 Appl Soil Ecol)


線虫群集構造の形成には土壌の生物的・非生物的要因が関わっています。そのような決定要因を明らかにするために、海岸と内地に成立するクロマツ林の線虫群集を調べ、環境要因との関連付けを行いました。その結果、線虫群集構造は含水率やpHなどの非生物的要因によって規定されることが示されました。(Kitagami et al. 2018 J For Res)


線虫は環境適応性の高さから、地中のみならず地上の昆虫や樹木でも生活しています。しかし、地上は地中に比べて環境変化が大きいので、生息できる種は限られています。環境ストレスが高いと考えられる樹上の線虫分布を明らかにするため、マツボックリに生息する線虫を形態と分子学的手法を用いて調べました。その結果、ほとんどのマツボックリに線虫は生息しており、PlectusPanagrolainusなど乾燥耐性が報告されているような分類群が分離されました。(Kitagami et al. xxxx Nematology)